(そう思ってたのにな、……錯覚起こして一華にすがり掛けたとかダッセェなぁ)
香水が引き起こすリアルな錯覚
まるで『あの日』が再度起こっているような恐怖と絶望と憎悪と罪悪感。
いつか、…………いつか親父は、
俺たちを殺す。と、核心じみた事を思っていたのに、
それでも一応『家族』で。どこかで信じたかったのかもしれない
『ごめんな。ごめん、………………山さんに会いに行こう、な?
一緒に死んでくれ時雨』
優しすぎる声とは裏腹に残酷な言葉
親父がアルコール依存症だと知ったのは、まだ先で。この時の俺は、ただただ『嗚呼、もう俺誰からも必要とされねぇのか』と、客観的に見ていた
親父が言う、『お前はクズだ。俺の子だからクズなんだ』と呪いのように言われ、殴られたあの日から分かっていたのに………………、
いつか、また、親父が改心する事を期待していたのかもしれない。
「大丈夫、時雨……顔色悪いよ?」
不意に洋服の裾を引っ張られ、我に返れば、眉を八の字にした一華と視線が絡む
こいつって、前も思ったけど…………
(真っ直ぐに見てくんだよなぁ、)
思わずまじまじと、その瞳を覗けば小さな違和感に気付いた。
あれ…………こいつって………………、
「なぁ…………お前、コンタクトかなんか入れてんの」
そんな気がした。まぁ間違いなく勘だがな
「え?コンタクト?いや、私視力いいし」
と、ゆるりと首を振る一華。
「ふーん、じゃあ気のせいか……コンタクトかカラコンが入ってる気がしたんだわ」
「え、……カラコン、」


