ノラと呼ばれた男【弐】

それは『俺を』助けて、という意味ではなく。

チラつく過去で、俺を庇う様にして立つ






たった一人の、俺の姉。







姉貴を助けて、と一華に言い掛けた。

今、現実には、実際俺の前には立ってはいない。変わりに立っているのは見知らぬ女たち…………なのに、

女らが姉に被って見えた




『やめてっ、お父さん、時雨をこれ以上苦しめないでっ』

いつもと違う、怒った様な声。
それとほぼ同時に舞った赤い花びら
飛び散った華はどこまでも赤く、
温かくて、鉄臭い、ぬるりとした感触



それが血だと知ったのは………………



姉が床に倒れて大量な赤色に身体が染まってからで、













『ねぇちゃん!!!!!!!』



俺の悲鳴が響き渡った。