ノラと呼ばれた男【弐】

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親父と母親が離婚する前、











姉は、甘ったるい香水が好きで。


よく買っていた。











買う金は母親が机の上に置いた現金で使っていた。下手したら余裕で1ヶ月は生活出来る額の札束。

でも、普通の生活とは異なり。

家族揃っての食事などある筈もなく、





母親の顔すら1日に一回見るか見ないかで。ほぼ他人の距離。












「あー…………くせぇ」



と、苛立ち気味に毒づいたのは他でもない俺だ。

どうも姉と似た系統の香水を嗅ぐと思い出す、嫌な記憶

不快にさせる、……と言うか『あの過去』を思い出させる切っ掛けが香水だ









『時雨は一人じゃないよ、』


そんな一言に救われた。

一華の前で気絶する前、俺は『此所』ではない『あの光景』を鮮明に思い出していた。その切っ掛けを作ったのが、キャバ喫茶に来ていた客の香水の香りで、

あまりにもリアルに思いだし、どっと汗が出て、息苦しくなった。まるで俺の周りだけ酸素が薄くなった感覚


今と過去が交差して、

吐き気と目眩に襲われた








そんな時、目が合ったのは一華で、




咄嗟に俺は『助けて』と言い掛けた