ノラと呼ばれた男【弐】

お前と仕事が出来て、懐かしくて、楽しくてなぁ











でも、やっぱ癌には勝てねぇや


と、そんな事をいい山さんは肩を竦めた



『山さん、』



『なぁ、……こんなこと言うのも変だがよぉ、お前が病気にならなくて良かった』


目元を和らげ、笑む山さん。

俺には優しすぎる一言。けれど同時に俺を襲ったのは……………………罪悪感だった



なんで………………山さんなんだよ

この世界に腐るほど人間は居るじゃねぇか、……どうして山さんなんだよ

これでもかと言うくらい仕事熱心で、面倒見がよく、皆から好かれる人がなんで死ぬんだよ、なぁ!?





俺が……変わってやる、

俺が山さんの病気貰ってやるから、









だから……………………山さんだけは、





『なぁ、慎二……お前仕事は好きか』



『……………………好き、です』

山さんが俺に声を掛けてくれたから、今の俺に居場所がある。

山さんがいたから、俺は…………救われた






でも山さん、俺はずっとアンタの背中を追って来たんだ。山さんが前を歩かなきゃ、俺には意味がないんだよ

俺にとってアンタは俺の目標だから





『俺も好きだわ。遣り甲斐あんだろー

だからかなぁ、苦労した後は必ず達成感があんだよなぁ』


『…………』


『お前が今の職場を好きでいてくれるなら、……俺の分も……………………』