ノラと呼ばれた男【弐】

『大丈夫ですよ治しましょう、もし再発しても金は俺がなんとか準備しますって』


医学なんて知らねぇ。でも直せんだろ?この時代無敵だ。医療技術は進んでると、よくテレビで言っていた。それなら簡単に山さんの癌だって、

『ダメなんだ、手術は出来ねぇ』



『はあ!?なに言ってるんすか!早い内に、』






山さんの肩を掴んで、説得を試みるが、山さんは首を振る。あれ。この人、こんなに体細かったっけ

俺が昔追いかけてた山さんは、もっとガッシリとした肉付きで、

後ろ姿すら逞しく思えたのに、今は面影もない。……いつからだ?

山さんはいつから……………………、









『手術は出来ない…………末期だそうだ』




まっ、き…………………………?



固まる俺を他所に、山さんはゆっくりと喋り出す。

『もう手遅れだと言われた。

ま、自分の体だからなぁ……嫌でも分かっちまった、俺は長くない』



『そんな、事』



『まぁ最後まで聞けや、


兆候みたいなもんはあったんだ、でもな仕事を優先した罰だ







今の仕事に遣り甲斐感じて、病院に行く時間すら惜しく感じたんだわ』