ノラと呼ばれた男【弐】

先輩が倒れた?嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ

またアンタと笑って仕事が出来るって思ってたのに







全速力で走り回った俺が、足を止めたのはプレートに『山』と書かれた病室を見つけたからで、

力任せにドアを開ければ、目を丸くした山さんと目があった




『おー……相変わらず激しいな、動作が』




『やまさっ、』



軽口を叩く山さんの側に駆け寄れば、悪戯っ子の様な笑みで、



『ただの過労だとさ』


意外な一言に、今度は俺が目を丸くする番だった。…………疲労…………?


『なんだ…………そっか、よかっ、』





‘’良かった‘’と言いかけた。

何でもない、の一言に安心して、安堵したのにも関わらず、山さんはどこか悲しそうな顔をして、



『なんてな、……嘘だよ』

ポツリと溢した。

『………………癌だとさ、まぁ煙草とかしてるしなぁ』


『え……………………、な、何言ってんすか山さん、…………冗談ですよね?』





本能が、この先、何も聞きたくないと拒絶する。嫌でも分かる、山さんの辛そうな顔。それが嘘ではないと語っている

『山さん、手術受けましょう』


『は……?何言って、』


『だって、受けたら完治するって聞きました』


『おい待て慎二、』