ノラと呼ばれた男【弐】







ぽつりと呟いた、その言葉


誰かの耳に届く事はないだろう、









そう思ってたのに………………、




「そりゃどーも」


瞼を閉じたままの時雨が、寝返りをうちながら……そう言った。

は?………………起きてたの!?




「…………寝たフリか」




「ばーか、ちょっと人酔いしただけ




体したことねぇよ」






よっこらせ。とか言いながら体を起こす時雨。だが未だ顔色は悪いまま、

それでも「サボっちまったな。戻るか」なんて言われてしまえば頷くしかなかった。

だって、私には無理やり聞く資格ないでしょ?言えないこと、言いたくない事なんて皆ある。

勿論、私も

隠して、嘘ついてる私が聞き出す権利はないから………………




だから時雨がオーラで「聞くな」というなら聞かない、

でもね、時雨………………




「1つ、約束して」




「あ?」




「無理しない、って約束して。限界くるまで頑張らないって、約束して」