ノラと呼ばれた男【弐】

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正直なところ、この『キャバ喫茶』にお客が来るのか不安だったが、

門が開けられ数分後、

「最後尾はこっちでーす!通路側に沿って並んで下さぁい」




見渡す限りの、人、人、人

てか、余裕の満室。最後尾は三時間待ちという想定外。




なんで、こんなに人気なんだ?などという疑問はすぐに吹っ飛んだ


「えっ、嘘嘘嘘嘘っ!?見て、ホントにいるーー!女装姿かわいぃ、藍くーん!」




「時雨さん、こっち向いてー!スカート似合わないねー!」




「羽音さぁん、写真取らせて下さぁい」





「迅さんサイン下さい!!」











などなど。ライブ後の光景に見えるのは私だけじゃない筈だ


彼らの周りには、これでもかってくらいにお洒落した御姉様方が集まり、

黄色い悲鳴を上げながら、ここぞとばかりに身体を触る



髪を撫でたり、頬に触れたり、


なんかもう……喫茶店ですらねぇ








と、哀れみの視線を向ければ、



真っ青な顔をした時雨と目があった。













何か言いたげに唇が開いた………………瞬間、