ノラと呼ばれた男【弐】

どくんどくん、と心臓が嫌な音を立てて鳴る。嗚呼、煩い、ちょっと静かにしてくれ、

そう自身に毒づいてから気付く、

静かになったら、それはそれで困るじゃん私。と←今更









「それより、さ…………時間だね」



視線を逸らし、そう呟けば、

学校の門が、窓越しに開くのが見えた。




「うげ、……まじかよ、人、多っ」


門が開くのと同時に人が雪崩れ込んでくる。どこから沸いてくるのか、

それにしても、異常に多いなぁ……女子が





今からデートするの!と言わんばかりのお洒落さに、思わず顔が引きつった

「よっしゃあ、んじゃ、皆、盛り上げて行こーぜキャバ喫茶!」




と、指揮を取ったのは伊藤だったか……斎藤だったか、の、一人の男子生徒

気分は絶好調の様で、女装すらノリノリ

どこからどう見ても「オカマ」にしか見えないが、不思議と似合っていた。




特に瓶底眼鏡と、三つ編みがいい組合せ





「しゃーねぇなぁ…………俺らも頑張るか」



腹を括ったらしい?時雨が、ミニスカ姿で仁王立ち。仕方ないから楽しむか、と雰囲気で言われた気がした




「そーだね、せっかくの祭だからね」




「スカートは嫌だけど、ま、姫のドレス姿拝めたし頑張るー、ね、迅」





「嗚呼」



迅がこくり、と頷いたとほぼ同時に……








教室のドアが開けられた。



そう、












‘’キャバ喫茶‘’での、初めてのお客様




開口一番に、放たれた言葉は「いらっしゃいませ」ではなく、


「「「「「お帰りなさいませ、旦那様」」」」」








と、不気味な格好をした野郎どもが……




満面の笑みを浮かべて迎へ入れるのだった