ノラと呼ばれた男【弐】

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【姫川side】



一日が経つのは早く、また一日が来るのは早いもので、

煩く鳴り響くアラームよりも数分前に、塁がドアを叩いて起こしてくれる。

寝てるとき、塁は絶対に自室に入ろうとはせずプライベートを守ってくれる






だからこそ、変に警戒もしなくていいのだが。あ、嘘です最初から警戒すら忘れてましたね、はい。

「一華さん?起きてますか?」



「…………」


こんこん、とドアをノックする音に、閉じかけた瞼を開け、

重たい身体を無理矢理起こした





「一華さん?朝ですよ?」




「…………一華さんは寝てます」




「いやいや、起きてますね?起きてますよね?早く着替えて下に下りて来て下さい」




「えー……ねむっ、」




ぐっ、と伸びをして、パジャマのボタンを外す。因みに、私が来てるパジャマの柄は「羊」の絵の模様で、

確か搖がくれた物だ





「ご飯出来てますよ、今日は創立祭だと聞いたので朝から一華さんの好きなオムライス作りましたから」








え、…………何それ、朝からオムライス?




めっっっちゃ嬉しいんですけどっ



「オムライス」の一言で着替えるペースが早くなったのは言うまでもなく、

早業で着替えた私は、勢い良くドアを開け、






「おはよ、塁」



ドアの前に立つ塁に、満面の笑みを浮かべた



「早かったですね、着替え



あ。一華さん、洗濯する洋服あります?今日は天気がいいらしいので、洗っちゃいたいんですけど、」




「んー…………あ、ジャージ?ってお願いできる?」





「大丈夫ですよ…………って、うわっ」




床に投げ散らかしていた、洋服を掴み、塁に渡そうとすれば何故か1歩後ずさる

ん?なんだ?どうしたんだ?

そう思うのも無理はなく、今までに見たことないくらいに塁の顔が盛大に引きつっていた。




「ちょ、なっ、一華さん!?これ、なんですかっ!」



「…………は?え?…………ジャージだけど?」





少しばかり血とか、泥とか、カビとか、異臭とかはあるが普通のどこにでもあるジャージで、

「これ、なんですか」の意味が分かず、再度首を傾げれば………………………………、





「これ、明日にはキノコとか生えてくるパターンですよ絶対にっ!」



だそうです、そこまで言うか?笑