ノラと呼ばれた男【弐】

◆◆◆
【搖side】





咲かない華はない、なんて良く例えたものだ。現に今、昔から知る姫川 一華は綺麗に咲いている。

いや、違うな、昔から綺麗だった

ただし、今みたいな穏やかな表情はいっさい無く。氷点下マイナス何度、と言ってもいいくらい冷めた世界に一華はいた


ずっと一人で、

泣かず、声を荒げず、全てを諦め、何に対しても期待しないで、





闇の奥底で、呼吸をするかの様に拳を振るっていた。喧嘩、と言うには余りにも一方的な…………、そう、謂わば暴力でのみ存在理由を感じていたのだろう、

たまに耳にする、暴力事件

それは大半が一華で、














あの日、一華に出会った日、


こいつが「噂の奴」だと直感的に理解した。なぜなら、あの時、アイツが放っていたオーラは余りにも「異様」としか言い表せないくらいに‘’染まって‘’いたからだ


―――――――――――……闇に、




もし、こいつが笑ったら……どんな顔して笑うのか、

そう思った瞬間、伸ばしていた手、





しかし、誤算だったのは「噂の的」の一華が………………女だった事

拾った時は疑う事無く「男」だと思っていたせいもあり、衝撃を受けた




『は……?お前…………女!!??』



確か、あの時、俺はそう言った気がする

驚愕するのも無理はない。俺が声を掛けて、手を伸ばした俺の手を容赦なく叩き、




それが合図となり、どちらともなく殴り合いをしたからだ。






『なんで言わねぇの!?』



『聞かれなかった』


口論になったのは倉庫に連れてってからで、自称「イケメン」が『そいつ、女の子じゃん』と、呟いた事が切っ掛けとなった