ノラと呼ばれた男【弐】

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一時間目が始まる少し前、

普段は、おどおどしてて視線すらあまり合わない田中くんが、私の側にやって来た






「あ、……あの…………姫川さんっ」




「どしたの?」


顔を真っ赤にして、もじもじする田中くんは、言葉を発したが何を話すか考えていなかった様で、何度も口を開けては閉めての繰り返し

なんだ?と思ったのは私だけではなく、迅、時雨、羽音、藍も不思議そうな顔して見やる



けれど、その面々が悪かった

田中くんの緊張がマックスになったのは、言うまでもなく。

視線が左右へと急わしなく動く






そんな彼に、他のクラスメートらが「頑張れ、俺らの代表っ」なんて小声で励まし、

励まされた田中くんは意を決したのか、強く拳を握った。






「ご、ごっ、……ごごごめんねっ!」



と、いきなりの謝罪に私は目が点になる

それは迅たちも同様で、

頭の上に「?」を浮かべていた。




「あっ、あ、ああのっ、そっ、創立祭」



「創立祭?」



「おっ、……俺らがしたい事で…………決めたから、…………だっ、だから、」







と、そこまで言葉を言って、一度切り、

再び、恥ずかしそうにもじもじ動く






幼虫みたい、なんて思っても言いませんけど←


「だからねっ、……姫川さんの、…………お願いを…………」



「……うん?」




「3つくらいは…………叶えよう、って………………は、話になって、だからそのっ」






と、言って俯く田中くん

うん。私、今、しっかりと聞いたよ?

願い叶えてくれるの?何それ神様←





普通なら「え?いいよー、そんなぁ」なんて、可愛らしい女の子は言うのかな

でもね、私は、



「え、まじで?なんでも?男に二言は無いからね?」


そんな台詞が出てくるわけもなく、思いっきり田中くんの肩に手を乗せる

狙った獲物は逃がさない、そんなオーラさえ出ていた筈だ




「え!?あの…………う、ん?」



「無しとか無しだからね?」



「あ、うん」











こくり、と頷く田中くん。

不思議そうな顔して、私に視線を移した田中くんは、瞬時にして身の危険を察知したからか、

慌てて口を開いた。



「あっ、あああああのっ…………因みに何を、」





ふふふふふ。←黒笑

言うわけないでしょ?今じゃないよ、







だから、ね?ちょっとだけ、


「楽しみだね、創立祭」






楽しませてね。