ノラと呼ばれた男【弐】







なんて言いながら、結局は迅の奢りになった。

「屋台閉まってんなぁ、自販機でいいか」




と、一人で行く気らしい時雨。

てゆーか、この学校自販機あったの?




思わず校内の作りを思い出すが、それらしい自販機は私の記憶の中では見当たらず、

「私も行くっ!」

時雨と一緒に行く事にした。

「あ?んなら、お前ジュース持ちな」



「えー、無理、箸より重いもの持ったことない」




歩き出す時雨に、私は置いてかれないように小走りで追いかける。

そんな私に気付いたのか、少しだけ歩調のペースが落ち、





何故か悪戯な顔して振り返る。

「足が短いと苦労すんだろ、ば~か」



「………………はぁ!?短くないしっ」



「ははっ、無理すんなよ俺より小さい」








いやいやいやいや。アンタより身長ある女子って、私見たことないんだけど!?

てか、私、標準だから

だって、日本の平均身長って160センチでしょ?なら後、二センチだし。




「本当、ちっさいよなぁ」



「ちょ、何、喧嘩売ってる!?」

染々言われるような事じゃないんですけどっ



思わず時雨を睨めば、ぐしゃり、と乱暴に頭を撫でられた。次は子供扱いか

「いや、ただ、こんなチビなお前に……なんか救われてんなぁ、ってさ」



「………………え?」




「藍が辛そうな顔、しなくなった

羽音が心なしか楽しそうで、

迅は前より優しくなった、





お前ってすげぇよ、」











居てくれてありがとな。と、それはあまりにも小さな声で告げられた。