「ね、姫、いこっ?」
「つか、お前のもってるソレ何?」
ふと、向けられた視線に私は袋の中身を見せる。中に入っていたのは……大量の家庭用花火。
線香花火に、のろし風の花火に、ネズミ花火に、ミニバージョンの打ち上げ花火
その他にも沢山、袋に入っているが、
「うわぁ、すごい量」
「これ、絶対今日中には使い終わらないかもね」
「買いに行ってたのって、これだったのか、ナイスチョイス」
「すげー」
反応は様々で、でも、皆、子供みたいに目をキラキラさせながら笑う。
だから気付かなかったんだ。
この時間があまりにも、温かすぎて、
大好き過ぎて、
そっと、背後まで迫っていた……
闇の影に。
そしてそれらを包み隠すように大音量で流れる、フォークダンスの音楽に私たちは笑い合っていた。
「おっしゃあぁぁぁ、中庭まで競走な」
「はぁ!?何言って、」
「よーい、ドンっ」
フライングしまくりな時雨が、満面の笑みで先頭を走る、
釣られて全員が駆け出した。
勿論、私も全力で。


