ノラと呼ばれた男【弐】





「ね、姫、いこっ?」



「つか、お前のもってるソレ何?」








ふと、向けられた視線に私は袋の中身を見せる。中に入っていたのは……大量の家庭用花火。

線香花火に、のろし風の花火に、ネズミ花火に、ミニバージョンの打ち上げ花火





その他にも沢山、袋に入っているが、

「うわぁ、すごい量」


「これ、絶対今日中には使い終わらないかもね」


「買いに行ってたのって、これだったのか、ナイスチョイス」


「すげー」






反応は様々で、でも、皆、子供みたいに目をキラキラさせながら笑う。

だから気付かなかったんだ。

この時間があまりにも、温かすぎて、




大好き過ぎて、












そっと、背後まで迫っていた……


闇の影に。

そしてそれらを包み隠すように大音量で流れる、フォークダンスの音楽に私たちは笑い合っていた。



「おっしゃあぁぁぁ、中庭まで競走な」




「はぁ!?何言って、」




「よーい、ドンっ」


フライングしまくりな時雨が、満面の笑みで先頭を走る、







釣られて全員が駆け出した。

勿論、私も全力で。