ノラと呼ばれた男【弐】

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【一華side】

パタパタと廊下を駆ける私を、生徒らは不思議な顔して見送る。

そんな中、

「えっ、今の姫川さん!?」


「すげぇ綺麗」


「いやいつも綺麗だけど、なんか……」


「モデルさんみたいだったね」






などと囁かれていた事など知らず。

見慣れた教室の前で、走っていた私の足は止まった―――――――――――





お客さんがいた時とは少し違う、騒がしすぎない廊下。

さっきまで列が出来てたのに、

本当に外部の人達は帰ったみたいだ。




見慣れた、と言うか、触り馴れた?教室のドアをゆっくりと音を立てて開ければ、

「あっ…………、姫川、さ、ん?」

と、吃りながらも話しかけて来てくれた田中くん。一瞬警戒してしまったが、

彼は彼で別の事に驚いているようで、





「その洋服、どうしたの?」

と、素に近い声の田中くんと目が合った。本日2度目。

瞬間。片付けをしていた生徒らも、釣られて私を見る始末






「「「「(かっ、……かわいっ)」」」」


などと言うクラス全員の呟きなど知る事なく、辺りを見渡した。

いつもだったら、すぐ絡んで来るか茶化すかするのに……………………、






なんて、柄にもなく不安に鳴った私は、

見慣れたメンバーを探す。










「………………あ、」


居た。…………と言うか、なんか皆固まってる

え、何、まさか私、時間止めちゃえる系の能力発動しちゃったか←ぇ





てゆーか、皆さんアホ面(笑)

藍なんて、口をパクパクしてるし、
時雨なんてガン見、
羽音は何故か眼鏡を拭き始め、
迅は固まっていた。

「えっ、と、……どうしたの皆」



「いやいやいやいや!寧ろこっちがどうしたの?って聞きたい!どうしたの?」









瞬間にして我に戻ったのは藍で、


うわー、お人形さんみたい。などと私を見て笑う。

「後夜祭あるし、……って、変かな」




やっぱ、私が着ても似合わないよね

そりゃ衣装は可愛いよ?
でもね「衣装は」の話し。

着る人が残念なんだよ、




思わず肩を落とした私に、慌てて首を振る藍

「うんん、可愛いっ

今すぐ襲えちゃうレベルで可愛い、

やっぱ姫はお姫様みたいだね」



と、頬を赤らめる藍。
寧ろ藍の方が愛らしく見えるんだけど、