ノラと呼ばれた男【弐】


キョトン、と目を丸くする一華。

昔はこんな表情すらしなかったのに、






変わったもんだ……、

嬉しい、と思う半面、少し寂しいと思うのは一華の親代わりをしていたからだろうか……

それとも………………………………、





「えっ、…………でも、」



「普通の‘’一華‘’で居たいんだろ、アイツらの前では」










意地悪く聞いたのに、迷いなく真っ直ぐに頷かれては苦笑するしかない

「アイツらも、お前に会いたがってる」



「そう、……かな」



「それに‘’イチ‘’は此処の生徒じゃねぇ設定だろ?」








嗚呼、本当、俺って狡い奴だな。

側を離れてほしくない奴の手を、自分で放そうとしてる。



きっと、自分が思っている以上に……他の奴等に嫉妬するかもしれない。

それでも見てみたいんだ

こいつが成長していく姿を。





(やっぱ俺、親馬鹿かなー、年かな)


「うんっ!私……行ってくる」


「おう、行ってこい。それと、」








教室を出ようした一華に、思わず笑みを溢し、



人差し指を上に立て、

「上、見とけよ。綺麗だから」





意味は後でのお楽しみ。

頭に「?」を浮かべながら「分かった!」と言い残し、軽快な足取りで一華は教室を出ていった。


「優しいね、搖」


「はっ、……んなわけ」


「今の顔、写真撮って見せようか」


「はぁ?いらねぇよ、どんな、面してんの俺」








「娘を嫁に出す父親、みたいな顔」