ノラと呼ばれた男【弐】

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【田中side】

黒瀬家の守護神と言われる【本家】には、幾つもの掟があった。

代々、仕えていた。と言ってもいい程の長い月日。けれど、掟の中には、



『黒瀬家に悟られるな』



『常に傍観者であれ』



『黒瀬家が疑わない分、本家が周りを疑え』









と、今では考えられない教育を強いたげられた。決して周囲に悟らせない、

どこにでもいる、普通の高校生を演じ続けなければ意味はない。

支えなければいけない『黒瀬』と同じ土俵に立つことは許されない、





同じ土俵に立つ、と言う事は。

つまり対等と言う事。


けれど対等を望むのは愚かだと、随分昔に、記憶と言う名のページに刻まれていた。




「あっ、田中おかえりぃお腹大丈夫?」

姫川を追って教室を出る際に付いた嘘。
教室に戻って真っ先に声を掛けたのは翠原だった。

容姿は可愛く、他クラスからも「藍ちゃん」などと呼ばれている




所謂ムードメーカーだ。

「あっ、…………うんっ、だっ、大丈夫、だよ?」



「はっ、拾い食いしたんだろ」



「流石に時雨だけだよ、三秒ルールとか言って食べるのは」



「はあぁ!?言った事ねぇし拾い食いした事ねぇわ!」







と、相変わらず五月蝿いのは赤崎で、

一言で言うなら『単細胞』が当てはまる

そして、そんな彼を弄っているのが……



凉白だ。

見た目、爽やかで、優しそう。と思いがちだが…………予想、かなりの腹黒






こんな珍獣(←失礼)共をまとめているのが、


















黒瀬 迅、である。