ノラと呼ばれた男【弐】

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教室を出ると、様々な……と言うか奇抜な洋服に身を包み闊歩する生徒らが視野に入った。

笑顔でクラスの宣伝用チラシを配る者、
また、廊下で寸劇を行う者。

そして、それらを案内する者と、案内されるお客さんたち。





どこをどう見ても『平和』で、

そんな光景に違和感を覚え、首をかしげた。や。だってほら、ついさっきまで乱闘。みたいな状況だったわけで、当然、多数の目撃者がいた。

にも関わらず…………普段以上に賑やかで、活気付いていて。







まるで――――――――――――……



「ん。外は屋台か、行ってみるか」



「……」



「イチ」



「あ、……何でもないっ!」


慌てて顔を上げれば、見下ろして来た迅と視線が絡んだ。あ、この距離…………

『私』の時とほぼ同じ距離だ、

いつも私が呆けてたり、黙ってたりすると迅は互いの息が掛かりそうな距離で顔を覗く癖がある。無意識なのか、特に本人は気にしてないけど、

でもね…………すっごく心臓に悪い

なんか、見透かされてそうだし。てか、顔近いし無駄にイケメンだから寿命が縮むっ!



「ん。……何食う」



「えっ、……っと、……たこ焼き?」

思わず疑問系で聞き返せば、迅が吹き出した。肩を震わせ「いや、俺に聞かれてもな」と言われてしまえば、そうなんだけどさ。

いや、ほら、でもさ、たこ焼きだよ?

流石にたこ焼きは売ってないかな。って思ったんだけど、




「んじゃ、あそこなら買えるか」



「あそこって?」



「校門前。1個上の先輩らが出店出してて、そこのたこ焼きが美味い…………らしい」



そう言って、迅について行くこと数分。
校内から校外に出たことで、風が頬を撫で、それと同時に香ばしい香りを運んでくる。

やきそば。クレープ。カレー。綿菓子。ポップコーン。リンゴ飴。イカ焼き。匂いを嗅げば嗅ぐほどお腹が空く。

そんな中。人一倍長い行列を校門前にて発見





「あ!迅さん、あれじゃない!?たこ焼き!」