ノラと呼ばれた男【弐】

なんて、他人事の様に決め込んでいる中




「こら、二人とも痴話喧嘩してないで、そろそろ持ち場に戻りなよ」




世話焼き上手な羽音がお盆を片手に仁王立ち。因みに服装は……正装ならぬ女装である

夜に出歩いたら声が掛かりそう、なんて本人に言った日にはきっと朝日が拝めない(笑)




「おー、羽音お疲れさん

すげぇじゃん羽音当てのご指名。このまま、此処にいる客全員持っててくれたら間違いなく売上上位じゃね?」


「流石に一人はきついって」


「の前に時雨が楽したいだけでしょ」





「そーとも言う」

瞬間、藍にど突かれる時雨。
『いでっ』なんて言いながらも、ちゃっかりやり返す辺りが時雨らしい。

そんな二人を、つい微笑ましく眺めていたのは自分だけではなかったらしく、

隣に立っていた羽音がクスクスと肩を揺らして笑っていた。見た目、綺麗なお姉さんが笑っている図、に見えなくもない光景。



とてつもなくシュールだが、

『クラス全員で女装♪』と言い出したのは私な訳だし、






(まぁ、せっかくだし……今は楽しみたいなぁ)

なんて、内心呟き、苦笑する。


「ほらほら皆、お客さんが皆さんを待ってますよ?」

だから、もし、……この後何も起こらなかった、

『私』の姿で、少しだけ………………










皆の側に居てもいいだろうか、


「マジか。無理。めんどくせぇ、……が、後少しだけおもてなしするとしますか」


「時雨のやる気が一番怖いわっ」


「ふふっ、それは同感」