ノラと呼ばれた男【弐】

「ふふ、…………いるよ」

一人ではなく、複数になってしまうが。
大切な人達ならいるよ、

勿論その中に、時雨、藍、羽音、迅も含まれるし、
















そして………………………………、



『あいつら』も、その中に入ってる。

もう、きっと会うことのない人達。
当たり前の様に肩を並べ、当たり前の様に過ごした時間がどれだけ自分にとって大切なものだったか思い知ったのは……

手放した後だった

けれど、自分に悔いる資格は無い。
だって手放す事を望んだのは誰でもない……………………私だったんだから




「へぇ……、そりゃ良かったな。

なら、その大切なもん……絶対守れよ」




「時雨、くん?」




「やり直しは出来ねぇからさ」










そう言った彼は、此処ではない……何処か別の場所を見つめて小さく呟いた。

“後悔なんて無いほうがいいしな”と

その時、時雨は何を思い、溢したのかは分からない一言。けれど、ずっしりとした重みだけが伝わり、心臓を締め付ける

時雨の悲しみを、
時雨の過去を……消せたら時雨は楽になるのに、


でも、それは現実には無理で。
もし、万が一出来たとしても『それ』はしちゃいけない事だ

だって『消す』と言う事は……否定する事になるから。精一杯生きてきた時雨の人生を否定する事になる、





今の時雨に出会えたのは……皮肉にも、過去があるから今に繋がったわけで、

「うん、僕、守ってみせるよ」



「なんだなんだ、見た目オタクっぽいのに男前だなお前

ま、困ったら相談しろよ」




「そうする

てゆーかオタクは余計な一言だよ」