ノラと呼ばれた男【弐】

「つーか、腹減るから悩むんじゃね?」



「そう、なの、かな?」

そういう問題なのか、果たして謎だが、
まぁ一理あるかもね。まだお昼食べてないし。

「時雨くんは、今、お昼休憩?」


「いや。ただのサボり」




サラリと当たり前の顔して、ちゃっかり私の前の席に座る時雨様。
見て、サボってるのにこのふてぶてしい態度。顔色1つ変えずに『サボって悪いのかよ』と表情で語りかけてきやがった

時雨、アンタ、相変わらず自由人だね

ついさっきまで具合が悪そうだった奴が、何故か……と言うか、心なしかご機嫌だ。もう何処から突っ込めばいいのやら



「まぁ、あれだな」


「?」


「悩んでる事があったら周りに聞く、とかな」







と、まさかのアドバイス。

確かに一人で考えても、分からないわけだし……聞いた方が手っ取り早いが、

『貴方の好きな人って誰?』と直球を投げていいものなのか、



しかも、『初対面』なわけだし、

「ほれ、俺に聞いてみ」


「え゛!?」


「んだよ、男同士なんだ。言いにくい事なんてねぇだろ」





いやいやいやいやいやいやいやいや普通に言いにくいってば

だって冷静に考えてみなよ、もし、

『好きな人いる?』なんて直球投げたとするじゃん?したらさ、『は?お前に関係なくね?』って言われるのがオチだ

だから、うん、直球の質問は止めよう

せめて遠回しで、変に思われないような、




「時雨くんは、………………その、」



「あ?」



「好きな……タイプ、とか、ある?」


所謂、どこにでも咲いてる恋ばな。的な感じで聞いてみた………………が、

うん、多分、言い方が悪かった。


「は?タイプ?そうだな………………」


「う、……うん」


「タックルしたり、アッパーかけたり、肘鉄食らわしても笑顔で殴り掛かって来てくれるとテンション上がるよな!」





テンション上がらねぇよ!!!!!!

寧ろ笑顔で、技掛けて潰した相手が来たらホラーだろぉぉぉぉぉが!?

これだから藍に『単細胞』なんて言われるんだよ。ねぇ、自覚ある?

今、私たち恋ばなしてるの。なのに、なんでホラーな話題にすり変わるんだよ!?

違う意味でドキドキしたじゃねぇかっ




「…………うん、……じゃなくて、」



「?」



「お、……女の子とかで、」