ノラと呼ばれた男【弐】

「嗚呼、……少なくても此処よりは安全だしな」



瞬間、誰かが息を飲む。

脳裏をチラついたのは、つい先程の惨状で。散らばる窓ガラス、暴れまわった男たちの屍。けれど、もし、その逆なら、

考えるだけでもゾッとする

あの場に居合わせなかった姫川。しかし、それはたまたま『偶然』タイミングがズレただけの事






事が起きた以上『安全』とは言い切れず、


「でも、先生、まさか……一人で外に出した、とか言いませんよね」



「なわけ。副担と一緒だ。車で動いてるから大丈夫だろ」









と。羽音の問に、めんどくさそうな顔をしながら答え。全員が『まぁ、確かに校内より安心か』と、納得したところで話題が変わり、

竹松の後ろに立っていた男が顔を出す

「嗚呼、ついでに“これ”のお守り頼めないか」




と、不意に振られた話題に全員の目が点になる。つか、華奢過ぎて竹松の後ろに立っていた事すら気付かなかった。とか言えない

まぁ、一言で言うなら、



「あ、初めまして、僕、竹松の親戚で」



へらりと笑う口元。
目元を隠すように付けた白黒の仮面

そして、男にしては高すぎる声。
けれど醸し出す『僕っ子キャラ』なら、なんら違和感もなくもない




「嗚呼、遠い親戚でな。遊びに来てんだけど、回る奴いなくてコイツの面倒頼めるか?」


「良かったら仲良くしてくださぃ」







ニコニコと振り撒く穏やかな雰囲気は、まるで……………………


動物で例えるなら、人懐こい仔犬の様である。


そして同じ瞬間に全員が内心で呟いた事が……………………………………、

















((((うわぁ、関わった事ないタイプ(だなぁ)(だわ)来たぁ))))




一致したのは、ここだけの話。