青井くんがわたしの腕をグッと引く。
だけど、それに負けじと知紘もわたしを離そうとしない。


「彼氏でもないやつが出てくるなって言ってるんだけどわかる?」


「そっちこそ、美依のなんなの?」


いまにもケンカが始まりそうで、ふたりとも口調が強め。


お互い譲る気無いって感じだ。


「今はただのクラスメイトだけど?」


「だったら、ただのクラスメイトが手出すのやめてくんない?」


今はただのクラスメイトって、どういうこと?これから何か変わるってこと?

もうふたりの会話に全くついていけない。


「へー、じゃあ聞くけど。ただの幼なじみくんが、こんなことしていいんだ?」


わたしの首筋を指差しながらそう言った。

"ただの"が強調して聞こえたのは気のせい?


「あんたみたいな変な男が寄りつかないよーにしただけ」