なんて、話していたらあっという間に家に着いてしまった。

なんともラッキーなことに、わたしの家から学校まで徒歩数分というとてもいい位置。


だからいつも知紘がぐずぐずしていてもなんとか間に合っている。


「あ、わたしの家ここなんだ」

「へー、すごく近いね」


マンションをグイーッと見上げながらそう言った。


「こんなに近いのになんでいつも遅刻ギリギリ?」


「そ、それは知紘がなかなか起きてくれなくて」


「あー、同じマンションなんだっけ?」

「うん、一応」


ふーんって声が聞こえた。それと、一緒にボソッと「奪うしかないか」って聞こえた。


「青井くん?」

「美依ちゃんにとって、小波くんの存在は特別だもんね」


「特別……うーん、どうなんだろう?」


あっ、でも確かに周りにいる子に比べたら特別かもしれない。