「どしたの?」
ピタッと立ち止まってわたしの目線に合わせて知紘が少しかがむ。
こうされると知紘の顔がよく見える。
それは向こうにとっても同じで、わたしの顔がよく見えるはず。
「美依?」
いつもより声のトーンが優しくて、わたしを見つめる瞳もいつもと違う。
あぁ……なんでわたしこんなに……
「どーしたの、いきなり抱きつくとか」
知紘のことで頭がいっぱいなんだろう……。
いつもなら自分からこんなことはしない。だけど、今はそんなことどうだっていい。
ただ、知紘を近くで感じていたくて。
「美依?」
名前を呼んで、ギュッてして。
今はこれが簡単にしてもらえるのに。

