「あのー」


後ろから突然話しかけられて、ハッと我に返った。

わたしの後ろには全然知らない男子生徒が困った顔をして立っていた。


「自販機使っても大丈夫?」

「へ……?」


あ、しまった。自販機の前でずっと固まってしまっていた。


さっき買ったばかりのジュースもまだ手にとっていない状態。


人がいたことにすら気づかないってどんだけボーッとしてたんだ。


「大丈夫?」

「あっ、どうぞどうぞ」


すぐさまジュースの缶をとって、自販機を譲った。


はぁ……わたしなにやってるんだろ。


冷たいはずの缶ジュースはわたしが放置していたせいで水滴がポタポタ。

せっかく冷たいの買ったのに。