「……うるさ」


もぞもぞと布団が動いて、そこからまだ眠そうな知紘の顔が出てきた。

ほんと相変わらず寝起きが悪い。


「起きないと遅刻するんだってば!」


わたしがこんなに必死になってるのにそれを無視してまだ寝ようとする。


「……まだ眠い」

「寝ちゃダメ!」


愛用の抱き枕を抱きしめたまま、離さないものだからそれを奪い取ろうとする。


だけどこれがいけなかった。


いつもと変わらないやり取りのはずなのに。


無言でわたしの腕を掴んで、
そのまま身体を倒して、抱きしめられた。


「ちょっ!」

「……朝からベッドに入ってくるとか積極的」


「は、はぁ!?わたしはただ起こしたくて……」


「……男が寝てるベッドに入ってくるとか無防備すぎ」


まるでわたしを抱き枕にするようにギュッと抱きしめて離そうとしない。