とりあえず身体をベッドから起こして部屋を出ようとして扉を開けた。


「……へ?うわっ……!」


扉を開けたとき、目の前に誰かが立っていてそのままぶつかった。

お母さんかと思ってそのまま顔を上げると



「え……な、なんで知紘が…?」


そこにはなぜかお盆を片手に持っている知紘の姿があった。


「起きたんだ」


ひょこっとわたしの顔をのぞくと、
そのまま知紘の顔が近づいてきて


「へ……ちょっ、何す……」


何をさせるのかわからなくて、思わずギュッと目を瞑ると


「……ん、昼間よりは熱下がってる」


おでこにごつんと何かぶつかった気がして目を開けると、知紘のドアップ。

ち、近い……っ。


その近さに耐えられなくて、すぐに顔をそらすと


フッと笑った声が聞こえて


「……キスされるとか期待してた?」

「なっ……、」