「あ、朝っぱらから何言ってるの!」


「朝じゃなかったらいいの?」


「だ、ダメに決まってるでしょ!」


早くこの腕から離れたいのに、抵抗しても敵わない。

ただ、わたしが知紘の上でジタバタ動いてるだけ。



「じゃあ、あと少しだけ」


知紘はいつもわたしを抱きしめる時、よくこうやって言う。


ただ抱きしめるだけで何もしない。だからそれに従って、わたしもこれ以上なにも言わない。

で、少ししたらちゃんと離してくれる。



「シャワー浴びてくる」


ふわっとあくびをしながら、わたしから離れてシャワーを浴びに行った。


その間に、お布団干して、洗濯して、朝ごはんを用意して……って


わたしは知紘のお母さんか?って、いつもいつも思う。


なんだか息子がひとりできたみたいな気分だ。