「……これ、どーしたの」
そう言いながら、知紘の指が唇の端に触れた。
「……切れてるけど」
「え、なんで切れて……」
すぐに心当たりが見つかった。
あのときだ……青井くんにキスされて、それを無かったことにしたくて
唇をおもいっきり擦った……その時たぶん切れてしまったんだ。
すぐさま知紘から距離をとって、口元を隠す。
その行動はあからさまに動揺しているといってもいいくらいに、わかりやすい……。
「美依……?」
「あ、あれ……っ、なんで、切れちゃってるんだろ、う……」
こんなの誤魔化しにもならない。
ましてや、知紘の瞳は誤魔化せない…
口元を隠す手を知紘が掴んで、ジーっと見つめる。
そして……
「……もしかして、アイツになんかされた?」
すぐに青井くんのことだって勘付いてしまうんだから……。

