しかもその日は、知紘が一緒に帰らないならと、近くのショッピングモールで時間をつぶしていたら帰る時間がかなり遅くなってしまった。
ショッピングモール付近は人通りが多いけれど、どんどん人通りが少なくなっていった。
あたりは暗くなっていて、その頃はまだスマホなんか持っていなくて、迎えとかも呼べなくて、ひとりで帰るしかなかった。
だけど、その日はとても運が悪かった。
人通りがまったくないところで、一台の黒いワンボックスカーがわたしの前を通り過ぎていった。
そう、通り過ぎていっただけならよかったのに……
その車はわたしが歩く少し前で止まって
中から男の人、2人が出てきてそのまま車の中に連れ込まれそうになった。
必死に抵抗しようとしても、大人の男の人たちの力に敵うわけなくて、
誰か助けを呼ぼうにも、誰かいる気配なんか全然なくて。
自分がまさかこんな目に遭うなんて想像もしてなくて
こんなことなら知紘を待っているか、早く家に帰っておけばよかったって後悔して
もうダメだって諦めたとき、一瞬の隙をついて逃げた。

