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「ねぇ、美依?」
登校してきたら、隣に座る華が真剣な顔でこちらを見ていた。
「な、なぁに」
「小波くんとなんかあった?」
「っ!」
華から知紘の名前を聞いただけで、ドキッと胸が跳ねる。
走ってきたせいで息が上がっていて、呼吸を整えながら自分を落ち着かせる。
平静を装うために、髪を直しながら何てことないって顔を作った。
「珍しいじゃん、別々で登校してくるなんて」
あれから、わたしは知紘の部屋を飛び出して、そのままひとりで学校に来た。
これ以上知紘のペースに巻き込まれてたら心臓がもたないと思って。
「きょ、今日は知紘が起きてくれな、くて」
昔から嘘をつくと、言葉が片言になるからすぐにバレる。
直そうとしても、なかなか直らない。
華もそれを知っているから、これが嘘だってことくらいわかるはず。

