なのに


「……来るの遅すぎ」


気づいたときには、後ろから抱きしめられて、動くことができなくて


ふわりと、香る甘い匂いに包まれて、身体が一気に熱を持ち始める。



「ち……ひろ……」


すっぽり覆われながら、ギュッと抱きしめて、トンッと知紘の頭がわたしの肩の上に乗っかる。



「……なんで連絡くれないし、会いに来てくれなかった?」


知紘の声が耳元で聞こえてくすぐったい。

会っていないのは、声を聞いていないのはたった2日の間だけなのに……


どうして、こんなに久しぶりに感じるんだろう。


そして、いつもはこんなに意識しないのに、


今はこうして知紘に抱きしめられて、触れられるだけで、こんなにドキドキしてるなんて……。