業務時間外の戯れ〜ハロウィンの甘い夜〜

と、高梨さんから茶色の紙袋を手渡された。

断れない空気が高梨さんの体から漂ってくる。仕方なく紙袋を持ち、隣の倉庫へいく。

しばらくして、社内に戻ると、高梨さんは自分の席に座り直し、こちらに顔を向けながら、おいでおいでと手招いている。

大きなつばに頭の先がとんがった黒い帽子、黒いミニスカートドレスと黒の編みタイツとやはり黒のショートブーツ。

これに大きな竹のほうきと杖をもたせたら立派な魔女になる。

いかにも黒ずくめな洋服だけど、こんな服着たことがないし、第一似合っているのかさえ疑問に思えた。

高梨さんは背もたれの上に肘をおき、頬杖をつきながらわたしを眺めている。

「かわいいね」

「かわいいって、ほめ言葉ですか、それ」

「うん。詩織は十分似合ってるよ」

「業務時間だからでしょ、そんなこというの」

「そう? もうほら、とっくに過ぎてるよ。社長も小湊さんもいないから」

壁にある時計を見やると、すでに業務時間は過ぎていた。