10月も半ばをすぎたあたりはすでにクリスマス商戦へ向けて商品を揃えているところだった。

もちろん、駆け込み需要でハロウィンのグッズはわずかながら売上がアップしている。

作業台の上に商品がひとつ置かれていた。

「この注文品、梱包しなくていいんですか?」

「いいの、いいの」

と、小湊さんはクスクス笑いながら指をさす。その先には高梨さんがいた。

「どうしても融通きかせてくれって。社員割引しておいたけど」

高梨さんはパソコンの前でクスっと小さく笑っていた。

疑問に残ったまま、次の日。

バイヤーの小湊さんはクリスマス商品の買い付けで出張、社長も代理店へ新商品の商談で、社内はわたしと高梨さんのふたりっきりになった。

「あのさ、この写真加工で気になってたんだけど」

パソコン画面に映し出されたのは、わたしの顔が加工された写真の一部だった。

「それがどうかしました?」

「着てみてよ。確認したいことがある」