わたしたちが勤めているのは国内外の雑貨を取り扱っている小さな雑貨屋。

ネットショップの店長をまかせてもらっているわたしだけど、サポートをしているのは高梨さんだ。

ホームページにあげられた商品たちは、黒や山吹色、時に赤だったりとダークな色使いが目に飛び込んでくる。

まだ真夏な8月の中旬を過ぎたころだが、すでにハロウィン商戦ははじまっていた。

ハロウィンパーティに合わせて小物雑貨の需要が年々増加してくるため、早めに準備をしたい人たちに向けて商品をアップしているのだが、暑い時期を境に受注発注が増えてくる。

「詩織ちゃん、ちょっといいかな」

と、昼休みが終わってからバイヤーの小湊さんが声をかけてきた。

「どうしました?」

「あのさ、ちょっと頼まれてほしいことがあって」

「なんでしょう」

「ハロウィンパーティーでウチも扱おうかな、と思ってね」

と、企画書とともに、紙袋を手渡された。

中身をチェックしてみる。

「あの、これ」

一度はみたことのある商品。

だけど、わたしが手に取ることは一生涯ないと思っていたものだ。

「あたしでもいいけどさ、やっぱりこういうのは若い詩織ちゃんじゃないと。お願い。今度、ご飯おごるからさ」

「……え、でも」