目前で、老人の姿は急速に老いていき、塵となって消えた。

 驚きで動けない僕に青年は目を向ける。

「止まっていた時間が動いただけですよ」

 青年は静かに微笑んだ。

「みな、私を置いて消えていくね・・・・・・」

 泣き出しそうな呟きを聞いたような気がした。



ハッとして周囲を見渡すと、いつもの公園の風景。

 耳にセミの鳴き声、車のエンジン音。

 夢?

 逢魔ヶ刻に見た影。

 それでも心に残った悲しい思いが、虚無と現実を重ねあわせる。

 そして、妙な確信。

 また、逢うだろう。青年に。

 ――そして、それは遠くない未来のこと。

【END】