「……おい。」
横を向くと、大輝が眠そうに立っていた
「おはよう。
……ていってももう昼だけれど。」
「今日はお前を迎えに来ただけだからな。」
迎え?
「どこに行くの?」
「倉庫に。」
REDMOONの属領の本拠地……
……関わりたくない
でも、これもアレのためなら仕方がないと思えば……
「予定があるのか?」
「いや、別にないけど……。」
「なら行くぞ。」
手を掴まれ立たされる
「歩いていくの?」
「んなわけあるか。」
大輝の目線の先にはシンプルにも改造されたバイク
「高校生がバイクに乗っちゃダメでしょ。」
「そんなん俺には関係ねぇよ。」
屁理屈だ
「それに、コイツは学校用のだ。」
大輝から投げられたヘルメットを被る
「お前……乗ったことがあるのか?」
「……ちょっとね。」
「……。」
走り始めたバイクに乗りながらふと思う
何も聞いてこなかったか……
でも深く聞かれなくて良かった
聞かれても何も答えられない
望み通りの答えを私は持ち合わせていないのだから
だけど少し
ほんの少し
罪悪感を覚えた
安心してしまったことに少しばかり胸が傷んだ
この胸の痛みが風と共に飛んでいったらいいのに


