(神矢 幹太side)
クロと出会ったのは偶然か必然か
どちらかと問うまでもなく後者だったと思う
あの日もこんな雨だった
その頃、神矢組は今とは全然違う、極悪非道とまで恐れられた存在となっていた
組長であるわしも、そんな状況を悪くは思っていなかった
組だから当たり前だろう、と逆に良しとしていた
今よりももっと沢山の奴らに恨まれ、近づいてくるバカなどいもしなかった
だが、その日
わしは……わしらは変わった
「お頭……お頭っ!!」
「なんだ、騒がしい。」
「その……表に……子供がっ。」
子供?
見に行くと、組員たちに囲まれた子供らがいた
ずぶ濡れになっても少女を大事そうに抱えて離さない少年
「お主ら、兄妹か?」
「……。」
「喋らんとわしらもどうしようもないだろ。」
「……俺はどうなってもいい。
でも、妹を……妹を助けてくれ……っ」
必死に訴えるその瞳に、忘れかけていた何かを見た気がした
「……中に入れてやれ。」
極悪非道と言われた組の長が丸くなったもんだ
だが、放っておくのは気が引けた
そしてわしら神矢組は、この兄妹と約1年ともに過ごすことになる
「幹ちゃーん!!」
「クロ、走っちゃダメだって。」
「なんだなんだ、今日もクロは元気だな。」
「ふふん、私はいつでも元気なんだよ!」
この2人がきて神矢組は変わった
始めは獣のように警戒していた2人だったが、約1年かけてここまできた
真白とクロはわしらにとって家族同然だった
だが、そんな時だった
最も恐れていたことが起こったのは


