誰も予想出来ない……



出来るはずがない



頭って聞いたからそれなりだろうとは思ってはいたけれど



まさか……まさかそれが……神矢組だとは



神矢組



全国屈指の実力をもつ組



私……本当にここの頭と知り合いなのだろうか



ちょっと不安になってきた



本当は人違いで、
「知っちまったからには生きては帰さねぇ」
とか言われちゃったらどうしよう……





「ほら、着いたぞ。
……クロ、どうかしたか?」



「いえ……ありがとうございます。」





覚悟を決めよう



それに人の名前勝手に呼んでるし





「「「お帰りなさい!!!」」」





玄関には強面の男の人たちが並んでいた



やっぱり……組……だね、うん





「って、若?後ろにいんのって……、」



「もももももしかして……ッ」









「「「クロぉぉぉぉおおおーーー!?!?」」」








……なぜかものすごく驚かれたんですけど……?





「クロが来た…………ッ!!」



「おい!!今日は宴だーー!!」



「クロが大きくなってる……グスッ。」





みんな私のことを知ってるみたい……



驚いたり、笑ったり、泣いたら



神矢組って怖がられてるけど、全然そんなことなかった



なんか、温かい



まるで……REDMOONみたい





「何の騒ぎだお前ら。」



「クロが来たんすよ、お頭!!」





低い声が響き、私の前に群がっていた人たちが一斉に並び道を作った



広がった視界の先



道を歩いてきたのは頭と呼ばれている人





「おぉ、クロじゃねぇか。
久しぶりだなぁ。」





お頭さんは一層強面だけど、私を見て微笑んでくれた



その表情に胸の奥が懐かしく感じた



やっぱりここの人が知っているのは私で間違いない



だからこそ……罪悪感で胸が痛くなる





「……ごめんなさい……。」








「私、ここにいるあなたがたと過ごした記憶がないんです。」