今日は月に一度の診察日



この間学校で喧嘩したままだから、少しばかり気が重い……





「八雲さん、お入り下さい。」





診察室に入ると白衣姿の麓絽がいた





「今月はちゃんと来たな。」



「麓絽……。」





椅子に座ると少しお互い無言になって



その沈黙を破ったのは麓絽だった





「この間は悪かった。」



「……え……、」



「お前のこと、ちゃんと理解してなかった。
俺はお前のことを応援してるつもりだ。
だが……俺の言い分も分かってくれ。
お前の身体は、お前が思っている以上に崩壊寸前なんだよ。」





そう言って麓絽が私の前に差し出したカルテ
それは私のカルテ





「……自分でも分かってるよ。
でも、まだ駄目なの。
まだやりきってないの。
まだ……手を差し伸べられてない人たちがいるの。」





本当の自分を出し切れないあの人たちを引っ張り上げる人が誰もいないというならば



その役目は私が背負いたい



みんな、それぞれの過去がある



あの時、凜は言った



"どうにかすることも……きっと僕には出来ない。"



それはみんなが壁を作っているから



そして、そうする気持ちも理解できるから



だからこそお互いが人の心に踏み込む勇気がない



きっとそれが暗黙のルールとなっていて