( side)



「そっちの様子は?」




«まだ自分の能力……というか、自分が何者なのかにも気づいてない様子だったよ。
多分、あの事件に関する記憶が抜け落ちているせいだと思う。»





それだけ……あの子を傷つけた





«でも……。»




「どうした?」




«力は目覚めつつある。
最近、繁華街で起きてる一掃事件。
もしかしたら……って思って確認してみたんだけど、そしたらghostがいた。»




どちらのグループにも属さず、中間にいる曖昧な存在




「で、それとあの子に何の関係が?」




«マントとお面で隠してたけど、あの戦い方……そっくりだったんだ。あの時のあの子に。
人格は正反対だったけど。»




「人格?」




«うん。多分あれは、力が生み出した人格。»




力が生み出した人格……




記憶がなくなっても、力としての目的を忘れず、それが新しい人格として現れた……




«それで、次はどうすればいい?»




「とりあえず、このまま見ててやってくれ。」




«りょうかい。»




「悪いね、頼んだよ。……奏。」




«……気をつけて。もしかしたら________にも人格が生まれるかもしれない。»




「……あぁ。注意しておく。」





通話が終了した携帯を見つめる





「俺にも、か……。」




人格に乗っ取られる……




そんなのどうでもいい




乗っ取りたければ乗っ取ればいい




ただし、あの子を救うまではさせない