「なぜって……あなたに届けるように頼まれたの。






……藍羅大輝。」





私を助けた男は、偶然にも私が探していた男だった





「……届ける?」





封筒を取り出し藍羅大輝に渡す





「茜先生から。」



「……茜さん?
……あぁ、翔(ショウ)が頼んだ奴か。」





先生をさん付けで呼ぶとは一体どういう関係なのか





「繁華街にいるの知ってて委員長に頼むとか、あの人も何考えてんだか……。」





本当だよ



あなたから先生に言ってほしいくらい……





「あなた、っていうかあなた"たち"1回も学校来てないじゃない。」



「行ってないな。」



「よく私が委員長だって分かったわね?」



「……。」





そこは黙るとこなの……?



そんなやましいことなの……?





「クラスの奴のことは翔が全て調べた。」



「調べた?」



「あぁ。"全て"な。」





そう聞いた瞬間、冷や汗がじわりと背中を伝う





「へぇ、なら私のことも全部知ってるってことね?」



「……あぁ。」





まぁ私には秘密なんて何もない





「じゃあ届けられたことだし帰るわ。
気が向いたらでいいから学校来たら?
5人も席が空いてると茜先生が可哀想だし。」



「おい。」





呼ばれて振り返る





「大輝。」



「名前がなに?」



「呼び捨てでいい。じゃあな。」





そう言うと、藍羅……大輝は奥に消えていった




何だったんだろう