「はぁ。」





手に持っている封筒を眺め溜め息をつく



なんで私がこんなことを……



しかもこんな場所……



通り過ぎるサラリーマンやキャバ嬢を横目にとある人たちを探す



茜先生には
「きっと繁華街に行けば絶対にいるから。」
と苦笑いしながら言われた



そもそも女子高生を繁華街に行かせる方がどうかと思うけれど



さっさと見つけて帰ろう



……絡まれる前に



チラッと周りを見れば不良軍団が私を見ている気がして



まぁ制服のまま来たから無理もない



さて、では撒きますか



すぐそばの路地を曲がると、後ろからバタバタと足音が駆けてくる





「そんな簡単には捕まらないけどね。」





クネクネと入り交じる路地裏を、まるで地図が頭の中にあるかのように滑るように走る



でも流石は繁華街に溜まっている不良軍団



さっきより人数は減っているけれどまだ追ってきている



しつこい



次の角を曲がったら1発殴ろう



そう思いながら曲がると……誰かにぶつかった





「すみませ……っ!?」





謝ろうとしたら急に腕を引っ張られ、細い路地に連れ込まれた





「ちょっ、あの……!!」



「……少し黙ってろ。」





顔は暗くてよく見えない



だけど私をどうこうするつもりもないようで



というかこの状況……傍から見れば抱きしめられてる?



そんなことを考えていると私たちの後ろでバタバタと足音が聞こえて、消えていった





「……行ったか。」





もしかして助けてくれた?





「あの、ありがとう。」





だけどお礼を言っても男は黙ったまま



終いには腕を引っ張られ、明るい街灯の下に連れられた





「……お前、俺らの学校の生徒か。
なぜこんな所にいる。」





振り向いた男の顔を見て確信した



今日は運が良いのか悪いのか