「やんのか、おい!!」



「ハッ、テメェの相手なんか下っ端でも充分だ。」






この街には2つのチームが存在する



繁華街を境に、



『REDMOON』『Blue sky』



力の差は殆どなく、それが逆にこの街を統一してきた。





「藍羅大輝(アイラ ダイキ)。
またお前が邪魔すんのか。」



「如月拓斗(キサラギタクト)。
てめぇは相変わらずうぜぇな。」



「お前のためにいちいち直すのは面倒だ。」



「ハッ、その通りだ。」






今にも喧嘩が始まりそうな勢いだった



だが、2人の頂点を筆頭にお互いのチームが背を向け歩き出す






「藍羅大輝。アレは俺らが頂く。」



「……てめぇらには渡さねぇ。」






互いに求める存在、『蝶』



それは揺らめく陽炎のように淡い幻想













その頃、繁華街のとある路地裏



フードを深く被った男を追いかける男たち






『チッ、しつけェなぁ。』






この鬼ごっこは長い時間続いているようで、追われている側はそろそろウンザリしている様だった



男は追手が来れなくなるように、わざと大通りに飛び出した



前から歩いてくる集団を横目に、すぐ近くを走り抜ける



集団の先頭にいた男とフードを被った男の視線が交わる






「待て。」






無意識だろうか



その手は反射的に走り抜ける男の手を掴んでいた






『触れるな。』






バッとその手を振り払い、男は人混みに消えていった



そして、先ほどの男が出てきた路地裏からはスーツ姿の男たちが走り出てきて、誰かを探すように消えていった



REDMOONの長、藍羅大輝は先ほど掴んだ手を見つめる






「……あいつ……」






これがこの物語の始まりだった