「本当になんでお前ら兄妹は……そんな残酷な運命に生まれちまったのかな……。」





ポツリと苦しげな表情で麓絽が呟いた





「本当だね……。
自分でもよく分かんないや。
でも、きっとシロ兄なら……"俺たちで良かった"って言うと思うよ。」





シロ兄は優しい人だから



自分以外のみんなに優しくて、他人の苦しみまで全部背負ってしまう人だから



きっと他の誰かが運命に傷つくより、自分が傷ついた方が何倍も良いって思うんだろう



だってそれは私も一緒だから



もしどこかで歯車が狂って、みんなの誰かが私と同じになったら……私はきっと代わりたいと願うはず



多分その考えが、自分を犠牲にするって言うんだろうけど





「麓絽、ずっと私を助けてくれてありがとう。
シロ兄がいない間もずっと私を気にかけてくれて。」



「俺は結局、何も出来てねぇよ。
お前を止めることも出来ねぇんだからな……。」



「反対しながらも見ていてくれていたこと、気づいてたよ。
だから私は、安心してREDMOONを任せられる。」



「結局、あいつらには何も言わねぇのか……?」



「きっと大輝は気づいてる。
だけど私からは何も言わないよ。
私は、私がいた痕跡を全て消して出ていく。」



「お前も残酷なことするな……。
残されたやつの気持ちを知ってんのに。」



「でもこれが一番の守り方だって分かってるから。
じゃなきゃ、あいつらはこの先もずっと私やREDMOONを追いかけてくる。
シロ兄がいない今、片翼の私だけでも動かなきゃ。」



「……そうだな。」









私とシロ兄は蝶









伝説を夢見た愚かな人が作った……飛べない蝶