｢すみませんが、あなたも人を探してるんですか？｣





声をかけてきたのは横に座っていた男性で
私より随分大人っぽい人だった





｢おい由樹、女の子に声掛けてっとナンパみたいだぞ。｣



｢少なくとも燐理よりはマシな人間だと思ってるよ。｣



｢はぁ！？
俺はいつだって真面目で誠実な社会人だっての。｣





えっと……この人たちはなんなんだろう



そう思っていると、声をかけてきた人がこっちを見て苦笑いしていた





｢あぁ、ごめんね。
なんか僕たちと近いものを感じて、つい声を掛けちゃって。｣



｢近いもの……？｣



｢僕たちもね、人を探してるんだ。
ていっても本当にいるのかさえ分からない、ただの僕たちの妄想かもしれない……そんな人なんだけどね。｣



｢俺たちはそいつのこと覚えてねーのに、探さなきゃいけない気になっちまうんだよ。
思い出さなきゃいけねーってな。
そう思ってもう４年になっちまうけどな。｣





２人はそう言うとどこか懐かしそうな顔をした





｢あなたも見つかるといいね。
その大切な人。｣



｢はい。ありがとうございます。｣





結局その日は会えなかった








あの２人が、その大切な人とまた巡り会えるのは……そのまた２年後のお話