「ごめんね。」
「なんで翔が謝るの?」
「なんとなく、かな。
幻滅した?
俺がREDMOONを裏切ってて。」
「ううん。
だってそれは翔が望んでしたことじゃないでしょ?
なら私は何も言わないよ。
今までの翔の優しさを知ってるから。」
翔はキョトンした顔をしたけど、最後には笑った
そして翔は空を見て呟いた
「俺ね?初めてお嬢さんに会った時、"あぁ、似てるな"って思ったんだ。」
「似てる?」
あぁ、やっぱりこの人は勘が鋭い
「心の奥底に一番大事なものをしまい込んで、それを守るために何でもしようとする。
例え自分を犠牲にしてでも。
俺には、お嬢さんの本当の姿がどうしても見えなかったんだ。」
REDMOONで一番脅威なのはきっと翔だ
「お嬢さんは……いつかREDMOONからいなくなるの?」
「……なんで?」
こうやって確信をついてくるから
大事なものを傷つけないように
「そんな気がしてならないんだ。
特に最近は。
……とても大事そうに、必死に、毎日を抱えて生きているような。」
私もね、初めて会った時"似てる"って思った
みんなのことを考えて行動して、大輝のサポートをしている翔だったけど、どこかみんなとは違う場所にいた気がした
翔だけが……最後まで私を警戒していた
だから私のことを"お嬢さん"と呼んだ
翔はずっとそうやって、みんなの分まで人を疑ってきたんだろう
裏切られる人の苦しみを分かっているから
でも……それと同時に、翔から与えられてきたものもちゃんとある


