「ごめんなさい。」



「……まぁ元はと言えば俺が悪かったんだから。
でも、お嬢さんを狙ったのはいけなかったけど。」



「いやでも、別に私は……。」



「そもそもお嬢さんもお嬢さんだよ。
1人であんなに人が多いところ行って、狙われるのは当たり前でしょ?」



「ご、ごめんなさい……。」





なんだろう、この状況



拘束を解かれた翔は、昴くんと私が正座してひたすら怒られてる……





「まったく……これじゃまだまだ昴のことが心配だよ。」



「僕もう子供じゃないし。
今じゃ兄さんと同じ副長だし。」



「そういう意味じゃないよ。
昴はずっと俺の中で俺に心配かけてるんだよ。
だから……ずっと気がかりだった。」



「僕だって……」





本当はこんな感じなんだなぁとしみじみ思った



そうだ、今何時だろう



ちらっと時計を見ると、あと少しで7を指そうとしていた



……7……?








「わあぁぁぁあっ!!!!」



「どうしたの?お嬢さん。」



「翔!!急いで倉庫に帰らないと!!」





翔の誕生日会7時からだった!!



絶対みんな心配してる……っ





「あぁ、そういえば誕生日会してくれるんだっけ?」



「……え?」





え、あの……サプライズだったんだけど……





「俺が気づかないわけないでしょ。
凜や慧はろくなこと考えないからね。
手網握っておかなきゃでしょ?」





とっくに気づかれてたんだ……





「じゃあお嬢さん、帰ろうか。」



「兄さん。
涼には……会っていかないの?」



「昴。俺たちは敵だよ。
俺はREDMOON副長で、昴はBlue sky副長だし涼は復帰して幹部になった。
もう……あの時のようにはなれないよ。」





幹部の行動ひとつで問題が起きかねない



でも、親友同士が敵になるのはやっぱり悲しい










「それでも。
それでも俺たちは繋がっている。
今なら……そう思うよ。」










その時の翔の瞳は、まっすぐ前を向いていた