「午後でも人たくさんいるね。」
「手でも繋いでおく?」
「遠慮します。」
翔が連れてきてくれたのは大きいショッピングモール
いつか来てみたいと思っていた場所だから、正直ちょっとワクワクしてる
「じゃあ、行こうか。」
土曜日だから人が多いショッピングモール
そして横には……世にいうイケメンのREDMOON副長
もちろん人の視線が注目するわけで
それなのに、翔はというと……
「うん?どうしたの?」
こんな調子である
「ううん、何にもない。」
さすが慣れてるって感じ
少しぶらぶらして歩いた
誰かとこうやってショッピングモールの来たりするのは初めてで楽しかった
午後からということもあり、遅めの昼食を取ることにした
「お腹いっぱい……。」
「俺はお嬢さんを見てるだけでお腹いっぱいだよ。」
苦笑しながら片足を組んでコーヒーを飲む翔
さすが様になってる
「ねぇ。
急にデートしようなんて言い出したのは、ただの気まぐれなんかじゃないでしょ?」
「……どうしてそう思うの?」
頭に浮かぶ予想はいくつかあるけれど
ただ、それを口にすることははばかられた
「なんとなく、かなぁ……。」
「そっか。いや、ただの息抜きだよ。
ずっとパソコンと睨めっこだったしね。」
そう言って窓の外を見つめている
言葉と表情が合ってない
そんな悲しい顔をしているのに
いつもは1歩下がって私たちを見ていてくれる翔
私たちの背中を見て
私たちからは見えない後ろで
翔は一体何を思っているのだろう……
「もうそろそろ秋か……。」
「秋って、何か思い入れがあるの?」
「……まぁね。
秋は色々なことが起こる季節だから。」
色々なこと……?
翔にとって秋は……きっと翔が変わったであろう季節
「お嬢さん、今日はありがとう。
久しぶりに楽しかったよ。」
「ううん。
翔が誘ってくれて良かったよ。」
そして、今年の秋も何かが変わる季節になることを、私たちはまだ知らない
そして、私たちを見ていた人物にも……


